クンストヴェルケ現代美術センター (KW)
に行ってきたので、その記録です。
KWはオシャレなお店がたくさんあるミッテの中心部にあります。
入り口から奥に行くと、1階の外にカフェがありその横の3階建ての建物がKWです。
2年前には一度きたのですが、それからは準備中だったりして中々来れなかったので、2年越しの来訪。
私が行った時は3つ展示やっていました。今回は印象に残った2つを紹介したいと思います。
一つは「Ernst Schering Foundation 2018: Anna Daučíková 」
Anna Daučíkováは50年以上ビデオインスタレーション・彫刻・写真などを通じて
物質による抑圧や自身のジェンダー観などを訴える作品を作ってきた作家。
展示の初めは、数点のビデオインスタレーションと写真から始まります。いずれも鏡やガラスを使っていて
物質により身体が強制的に変更されることを訴えてくる。いろんな角度で身体がガラスに当たるたびにガラスに当たっている部分の形が変形されて同じ身体なのに違う影ができる。作者自身がトランスジェンダーということから、身体が存在するけれど人が人工的に作った物質によって変形されることに対して、苦しさを感じました。
もう一つは、ただ蛇口に置かれた黒い陶器のヤカン?のふたに上から水が流れていて、それを綺麗に洗剤で洗って置くというもの。途中の洗剤で洗うシーンを見なければ、洗う前と洗った後に違いはない。だけれど、洗剤で洗うシーンを見たからこそ、自身は前後でそのふたの印象が変わる。
別に何か変わったか、視覚的にわかるわけではないにも関わらず。
少し下ると、大きな部屋があり、そこでは、大スクリーン3つに映像、手前に鋭利なガラスの表面におそらくガラスの破片で書かれた文字の展示。

それまでみた、ガラスを用いたビデオインスタレーションは完成された既製品のようなイメージがあったが、ここに展示されているのは無造作に割れたガラス。とても鋭利である意味、このガラスの方が自然に見える。でも、ガラスは人工的に作られたもの。その上に作者のある意味プロパガンダが書かれている。これもガラスを傷つけることで書かれているので、なんだか見ていると苦しくなる。
なんかこの時代に、そしてモスクワにいたというから社会主義のロシアでトランスジェンダーを扱うこと自体とても大変なことで、その苦しさをどう伝えるか、そういう作者の試行錯誤がとても伝わって、私もとても苦しくなった展示でした。
もう一つは 「image bank」
70年代カナダで活動していたグループ「image bank」の回顧展。
大衆文化や消費社会の中で流通するイメージを神話などを交えて組み替える作業を行う。
また、郵便を使うことでこのプロジェクトのネットワークも構築していたという。
特に、Mr.Peanutプロジェクトは見た目の不気味で目に留まる。
Performance E elegance Art Nonsense Uniqueness Talent の略でピーナッツ。

バンクーバーの市長選に立候補したりとさまざまなところでパフォーマンスを行っていたらしい。
将来のイメージは全体主義に取って代わるという1984プロジェクトもしくは「cultual ecology project」
写真など、大衆文化の中で技術が発達する中、そのような大衆文化または消費文化の中にあるイメージ(例えていうならばカラーバー)を、規範的な画像生成と視覚的表現から抜け出すためのパフォーマンスを行っていたそう。
それはポストカードや色々な媒体を用いたり、カラーバーを木に色を塗ることでたくさん作り、川にばらまく。
実際、きちんと理解したか不安だけれど、70年代まさに消費文化真っ只中の中にでき、固定化された画像のイメージを
色々な媒体を通じて、破壊することでそこから新しい価値観を生み出そうとしたということかと思います。
そして、その破壊には、神話のメタファーを取り入れることで、それがファンタジーというか非現実的なもののようにも見える。ただそれすらも人為的に作られたものだから、神話を使い、今の現状を皮肉っているような印象もある展示でした。


雰囲気は外苑前のワタリウム美術館みたいな感じですが
建物3階分全く違うテーマ、展示をしているので、とても面白いです。
それぞれ9月ぐらいまでやっているそうなので、ぜひ。