TANAHARA MIZUKI Portfolio
ネットと暮らし研究所
2018-
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「ネットと暮らし研究所」とは、インターネット上の行動が、現実の生活と同様重要にな った未来において、生命保険会社のような立ち位置で人間の快適なインターネット生活を サポートする研究所である。また、筆者は、その会社で働くネットライフプランナーとして働く。ネットライフプランナーは、顧客に応じ、ネットの使い方を提案する。ネットライフプランナーは、顧客に応じ、インターネットの使い方を提案する。
1:プライバシーらくらく
プライバシーらくらくは、Amazon dashを利用したプライバシー設定をボタン一つでできる装置のコンセプトモデルである。ネットの使い方を5つに分類し、その中から自分のインターネットの使い方を選びボタンを押すと、プライバシー設定が簡単にできるようになる。
2:プライバシー設定番組マイプラ
「プライバシー設定番組 マイプラ」は、ネットライフプランナー(ユーザーに合ったインターネットの使い方をを提案する人)に扮した筆者がライフスタイル毎に Twitter、Facebook、 Google のプライバシー設定を説明する番組である。
背景
今後、より情報の個別化は進むだろう。なぜならインターネット広告の収益拡大と利用者の情報過多を緩和することから、アルゴリズムの導入は合理的だからである。また現在、人工知能・AI などが取り込まれた商品の開発が急増している。例えば、「Google home」や「Amazon echo」は音声認識を導入し、ユーザーの行動を学習してパーソナライズしていく。つまり今後は、PC やスマートフォンからだけではなく、車、乗り物など様々なものから、その使用者のパーソナルデータを入手できるようになる。この流れは止まらず今後も引き続き、パーソナルデータの収集量や種類は爆発的に増えるであろう。

では、こうなった時に私たちの生活はどうなるのであろうか。現代における 10〜20代いわゆる若年層は自分に合った情報を効率よくもらえるならパーソナルデータを全て渡しても良いと考える割合が高い。パーソナルデータが収集され続けるとなれば、もしかすると小説「1984年」のように、全ての生活を政府が監視する社会になる可能性もあるだろう。

現実的に起こりうる問題は、インターネットスキルの高低が生む機会格差である。今まで問題は情報格差だといわれていた。情報格差とは「コンピュータやインターネットなどの情報技術(IT:Information Technology)を利用したり使いこなしたりできる人と、そうでない人の間に生じる、貧富や機会、社会的地位などの格差」という意味である。しかし、現代のインターネット普及率は84%を超えているため、インターネットを使用していることは前提だといえる。その前提で、ユーザーがインター ネット上でどのような情報入手行動をするかによって得られる情報が違うことが機会格差に繋がるのだ。

よってインターネットを使用しつつ、どのようなパーソナルデータを渡すのか、渡さな いのかユーザーが能動的に選択することが、機会格差をなくすことに繋がると考える。そしてその手段の一つが、プライバシー設定を変えることだと筆者は考える。 本研究にて使用する「能動的選択」という言葉は、行動経済学者キャス・サンスティーン(2018 p.163)による定義、「ユーザーが自分の意志で選択すること」を意味することとす る。キャス・サンスティーンは、責任感を負わせることが望ましい場面では能動的選択は 有効だと述べている。例えば、人間は自分が選んだ選択肢を好きになる。つまり、能動的 に選択すれば人はそこに力を注ぎ、ある意味選択したものを好きになる。

私は、ユーザー自身にインターネットの使い方の選択の責任を負わせることは重要なことだと考える。ただ、能動的選択は選択者に大きな負担を強いることになる。特にプライバシー設定の場合、複雑で馴染みがないものであるから、負担はより一層強いであろう。故にユーザーの負担を抑えた能動的選択手段の必要性を提案する。

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