パーソナルデータを気づかないうちに収集され、売買されるという現在の状況は、プライバシー侵害であると考えます。しかし、この問題がユーザーに伝わるタイミングは情報漏洩問題が発生した時のみです。例えば、2018年に発覚したFacebookのパーソナルデータ流出事件。これは、パ ーソナルデータが選挙コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカ社に渡され、アメリカ大統領選挙に使用されていたのではないかというニュースが話題になりユーザーが Facebook アカウントの削除をする騒動に繋がりました。
しかし、これで取り上げられているのは、総パーソナルデータのほんの一部の部分のみです。その何倍ものパーソナルデータをユーザーはインターネット企業に取られています。それを一つずつ明るみにしていったところ でパーソナルデータが取られ続けている問題の根本的な解決にはならないと作者は考えます。もちろん、各メディアはプライバシーポリシーにどのような情報を取得するか記載していますが、それはとても細かい字で長文であるがゆえ、隅々まで読む人は少ない状況です。
プライバシーポリシーを読む機会をもつ目的で筆者は 2018年5月、IAMAS学内にて作品「プライバシーポリシーをきちんと読む」を展示しました。日本においてユーザー数の多い、LINE、Twitter、Google、Facebook のプライバシーポリシーを大きく印刷することで、企業 はプライバシーポリシーにきちんとパーソナルデータの扱いを記載しているという主張に 対して、実際にはユーザーが読んでいないという情報の非対称性を表しています。