

私たちがスマートフォンやPCで日々やり取りする「データ」は、決して実在しない虚構ではなく、広大な土地を占拠し、大量の電力と水を消費する極めて物質的な存在である。本作は、現代社会の不可視のインフラである「データセンター」の設計図を、ジェレミ・ベンサムが考案した円形刑務所「パノプティコン」の監視構造に重ね合わせることで、新たな監視社会の在り方を問い直す試みである。
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本来は人間が住むための空間ではないデータセンターだが、そこには絶え間ない情報の奔流(ピンク)、それを駆動させる膨大な電力(黄色)、そして熱を帯びたシステムを鎮めるための水資源(青)が、数字やグラフとして層を成している。パノプティコンが「視線」によって囚人の自己規律を促したように、現代のデータセンターは私たちのあらゆる行動をデータとして集約・管理し、不可視の場所から社会の規律を形成していく。
緻密な図面の上に描き出される数学的なデータと、巨大な物理空間。この対比は、デジタルという仮面の下に隠された情報の「重み」を露わにし、私たちが利便性と引き換えにどのような権力構造の中に身を置いているのかを表現している。

